【南米の皿の上】ドゥルセ


このコラムをご覧の皆さまこんにちは!表題のドゥルセとは何ぞや。
ドゥルセ=dulceは直訳すると「甘い」で、名詞としてはお菓子やデザート等の甘い物全般を指す、要はスイーツですね。今回は、南米の甘い物特集です。

まずはアイスクリーム(herado エラード)から行きましょう。南米でも大きめの街なら繁華街のどこかにはアイス専門店があって賑わっていますが、小さな町でも食料品を扱っている店などには何がしかのアイスを売っていたり、街角やバスターミナルなどでも移動販売のアイス屋がいたりします。日本でも公園とかでアイスクリンを売ってる、あんな感じですね。
アイス専門店は〇ーティワンを思い浮かべていただければお分かりかと思いますが、フレーバーもまあ似たようなもので、アルゼンチンには有名なチェーン店もありました。その中には南米独特のテイストもあり、ボリビアはコチャバンバの人気店では、チェリモヤという熱帯果物のアイスがあったので頼んでみたところ、味はこってりとしておいしいんですが、大きな黒い種がそのまま入っているので、取りながら食べるのが難しい。種もそのまま入れちゃうところがいかにも南米らしいんですがね。エクアドル・アマゾン入口の小さな町では、ナス科で見た目はオレンジ色のトマトの様なナランヒージャ(naranjilla 学名はsolanamu quitoenseでキト原産のソラナムの意、ケチュア語ではルロと言うそうです)のアイスを売っていて、見た目通りオレンジのような味でした。ちょいと北に上がって中米コスタリカの地方都市のバスターミナルでは、小さな食堂で客がアイスらしきものを食べていたので、あれくださいと頼んだら、ココ(ココナッツ味)しかないよということでそれを買いました。形はプリン型に棒を突っ込んだ感じのもので、ガチガチで固いけど味はココナツミルク風味でおいしい。子供の頃こういうの作ったなあ、と懐かしく思い出しながらがりがりと食べました。

お次はケーキ(tartaタルタもしくはpastelパステル)。しかし南米で、日本のケーキ屋で売っているような繊細な物を期待してはイケナイ。ボリュームはあるけど大雑把なもの多し。大抵は、白いバタークリームやジャムをたっぷり塗ったもの、チョコケーキ、フルーツのタルト等で、ショートケーキとかは見なかったですね。コスタリカは種類は多めでしたが、北米に近いせいか劇甘で歯が溶けそうでした。チリ・サンティアゴのバターケーキは、見た目はコテコテだったけど味はさっぱりしてておいしかったのが意外でした。ボリビア・コチャバンバのカンチャ(大市場エリア)にはケーキ屋筋があって、色々なサイズのバースデーケーキをずらっと並べて売っていました。ちなみにその隣はでかいローソクを売るローソク屋筋でした。

チョコレートはどこの国でも人気で、駄菓子屋やスーパーで売ってるようなスナック系や板チョコの他にチョコの名産地もあります。アルゼンチンではメンドーサやバリローチェがお土産として有名で、特に南米のスイスと言われるバリローチェにはいたるところにトリュフチョコ専門店があって、観光客を集めていました。ボリビアでは行政上の首都スークレ。ボンボン系(涙が出そうな程甘い…)、ナッツのチョココーティングものが多く、市場にあった店のも包装は500g入りABCチョコみたいな簡易なものだったのに、数年経って行ったら、店構えが立派になっていて品物もトリュフ系にシフト、包装も箱入りになっていたのにはびっくりでした。ネタの少ないブラジルでは何故か亜熱帯のイグアスもチョコが名物のようで、しかも安い。これは原料のカカオの産地ということなのかしらん。あまりの安さに職場へのお土産用に1kg入を10箱買ったのはいいけれど、つまり合計10kgになるという訳で、それを移動と帰途で痛感したおバカな私でした。

デザートではフラン(flan カスタードプリン)やインスタントゼリー、フルーツなどが定番で、この他にポピュラーなのがアロス・コン・レチェarroz con leche。米を牛乳で煮て砂糖で味付けした、日本人には気分的に抵抗のあるシロモノなんですが、ボリビア・コチャバンバ郊外のプナタでカルナバルの時期におよばれしたものは、庭先で飼っている牛のミルクで作ったとのことで、砂糖は入っていないのにほんのり自然の甘さがあって、デザートとしてよりも牛乳に感動したことを覚えています。これのアイスも専門店にはあって、ミルクアイスみたいでおいしいけど米粒が形ままなので食感がフクザツ。

さて、今回のメインはアルゼンチン北西部の郷土菓子アルファホーレス!まあこのアルファホーレスは、元々はスペインから持ち込まれたクリスマス菓子が南米風にアレンジされて広まったもので、南米の各地どこでも見られるものなんですが、私が回った国の中ではアルゼンチンが特にこのアルファホーレスの普及(というよりも氾濫)率が非常に高く、その中でも北西部のサルタが一番種類も多くて地方名物だと目立っていたので、郷土菓子として紹介したいと思います。
アルファホーレス(原型はアルファホールですがarfajoresと複数形で表記されることが多い)を辞書で引くと「アーモンド、クルミ入り菓子」となっていて、アラブから伝わったスペインではクリスマスだけに食されるものだそうです。「アルファホール」の名も起源である中近東のアラビア語で「挟む」という言葉に由来しているそうですが、南米ではこのナッツが手に入らなかったことから違う食材を使って作られるようになったようです。この南米版アルファホーレスがどんなものかと言うと、クッキーにキャラメルソースを挟んだ菓子で、このキャラメルソースこそがアルゼンチン人が愛してやまないドゥルセ・デ・レチェ!この「ドゥルセ・デ・レチェ」、どこかで聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。大分前ですが一時期流行ったこれはカップアイスのフレーバーで有名になりましたね。日本風に言うとミルクジャムで、文字通り牛乳と砂糖を煮詰めて作ったスプレッド状の物です。これをパンに塗ったり菓子に使ったり、スーパーでも瓶詰のものを山のように積み上げて売っていて、ともかくアルゼンチンではいたるところで見かける国民食とも呼べるシロモノなんですが、これをふんだんに使った菓子の筆頭がアルファホーレス。基本は前述のように、クッキーにドゥルセ・デ・レチェを挟んでココナッツファインをまぶしつけたもので、これにコーティングがアイシングでココナツまぶしになったり、チョコレート、ホワイトチョコがけになったり、フィリングがチョコになったりと、地方やメーカーでバリエーションも色々あります。これもドゥルセ・デ・レチェ同様にどこでもかしこでも売っていて、サルタのバスターミナルの売店にはそれしかなかったし、バスの中でサービスでもらったのも袋入りのチープなアルファホーレスだったので、アルゼンチンのおやつはアルファホーレスと決まっているのか!?と思ってしまったくらいです。

サルタの中央広場近くにある店は、まるでヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のように、これでもかというくらいに様々な菓子を並べ立てたディスプレイで、色々と試食させてくれたものはどれもおいしいんですが、形や名前は違えど全てにドゥルセ・デ・レチェを使っているので皆同じに感じる。ともかく何でもかんでもドゥルセ・デ・レチェ、実はドゥルセ・デ・レチェこそがサルタの郷土菓子なんじゃないの?と思った程の総ドゥルセ・デ・レチェには圧倒されてしまいました。「アルファホーレスはドゥルセ・デ・レチェを食べるのが目的の菓子で、クッキーは添え物」というような記事をどこかで読んだことがありますが、正にそんな感じですね。
サルタの郷土菓子は、このアルファホーレスの他に、ガスナテス(gasunatesこれも複数形ですね)という揚げた円筒形の生地にドゥルセを詰めたものや、ロスケテス rosquetes という塩味のビスケットにメレンゲをくぐらせた平丸い形のもの、そしてトゥロン(フルネームはturron de miel de caña 糖蜜のヌガーの意。これだけ単数形だな)という、糖蜜に水と砂糖を加えて煮詰め、メレンゲでコーティングした虫歯ものの菓子などがあります。

さて、これらの菓子の肝となるドゥルセ・デ・レチェですが、作るとなると大変時間がかかります。なので比較的お手軽バージョンは、缶入りコンデンスミルクをそのまま湯に入れて、ムラにならないように転がしながら3時間加熱し続ける、というもの。もっと短時間がいいとご希望の方には、水を入れた圧力鍋に缶のまま入れて、リングが上がって圧力がかかったら弱火にして20分くらい煮るというやり方もあるようです。それも面倒臭いとおっしゃる向きには、ミルクジャムを使うか(これは味が薄いですが。ドゥルセはもっと濃密です)、通販で入手出来るドゥルセ・デ・レチェを買うか、いっそのことこれも通販で売っているアルファホールを買って食べるだけにするか、それとも三木山フォルクローレ音楽祭の出店で売っているもの(アルファホール)にするか!私的には最後のが一番簡単でおススメ(これ宣伝ね)ですが、作ってみたいとおっしゃる方の為に、レシピをガスナテス共々ご紹介します。ちなみにドゥルセを牛乳から手作りしたい方は、○ックパッドにレシピが載っていたので、検索してみてください。

(村上幸恵:著)


アルファホーレスの材料(7cmくらいのもの約10個分)
直径を小さくすれば個数は増えます

卵黄(よくかき混ぜておく)…………………………2個分
グラニュー糖…………………………………………………70g
バター…………………………………………………………100g
コーンスターチ……………………………………………150g
薄力粉…………………………………………………………80g
ベーキングパウダー………………………………………小さじ1
牛乳……………………………………………………………100cc
レモン汁………………………………………………………半個分
バニラビーンズの中身かバニラエッセンス……お好みで少々
ドゥルセ・デ・レチェ…………………………………100g
ココナッツファイン………………………………………適量

<作り方>

**下準備**
バター、卵は室温に戻しておく(気温の高い時期は短時間で)。ドゥルセ・デ・レチェを作るか買うかして用意しておく。残ったらパンとかに塗って食べましょう!日持ちするしおいしいよ!

  1. ボウルに入れたバターを泡だて器か電動ミキサー等でポマード状にし、グラニュー糖を加えて白っぽくなるまで混ぜ、分離しない様少しずつ卵黄を加え混ぜる。
  2.  薄力粉、コーンスターチ、ベーキングパウダーを合わせてふるいにかけて1に加え、ゴムべらなどで混ぜ込んで行く。
  3. 2にレモン汁と牛乳の半量を加えて混ぜ、残りの半量は粉っぽさの加減を見ながら少しずつ加える。全量加えてもまだしっとりしないようならもう少し足す。
  4.  一纏まりになるまで捏ね、ラップで包むかビニール袋に入れて冷蔵庫で約1時間寝かせる(型で抜かないならこの時お好みの直径の円筒形にしておくと良い)。
  5.  オーブンを180℃設定で予熱しておいてから、冷蔵庫から取り出した4を、型で抜く場合は麺棒で平たく伸ばして好みの大きさの丸型で抜き、円筒型にしたものは輪切りに切って、クッキングシートを敷いた天板に並べて10分くらい焼く。
  6.  冷ました5を二枚取ってドゥルセ・デ・レチェをサンドし(お好みで全面に塗っても良い)、はみ出した縁の部分にココナッツをまぶしつけたら出来上がり!

 

<ガスナテスの作り方(10個分くらい)>

  1. 卵黄3個をボールに入れ、白っぽくなるまで泡立てる。
  2.  アニスパウダー小さじ1/2と薄力粉120gを1に振り入れて混ぜる。ラード小さじ1/4を少しずつ加え、ボールにべとつかなくなるまでよく捏ねる。打ち粉を振った台に生地を麺棒で伸ばし、6㎝ずつの正方形にカットする。
  3. 2を図のように巻き、180℃に熱しておいた油できつね色になるまで揚げ、冷ましておく。
  4. 3にドゥルセ・デ・レチェを詰めて出来上がり。

 

==ここまで===


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